こんにちは!
前回に引き続き、体のエンジンであるエネルギー生産機構(代謝系)について解説します。
今回は、「クエン酸回路~電子伝達系」です。
ダイエットに重要なクエン酸回路~電子伝達系の仕組みを見ていきましょう!
クエン酸回路(TCA回路)~電子伝達系
・場 所
細胞内ミトコンドリアマトリックスから内膜と膜間腔の間
・ATP生成量
23ATP/グルコース1分子=ピルビン酸2分子の場合
・燃 料
ピルビン酸
脂肪酸
(アミノ酸)
・エネルギー生成速度/持続時間
解糖系の1/100程度(ゆっくり)/燃料が切れない限りずっと
クエン酸回路(TCA回路)~電子伝達系は、主として解糖系の最終生成物であるピルビン酸と蓄えられた脂肪組織から分離した脂肪酸を燃料としてATPを生成する機構です。また、クエン酸回路のいくつかの反応ではアミノ酸が使用されます。
ダイエットにおいて重要なのは、クエン酸回路は人間が持つエネルギー生産機構の中で、唯一脂質を燃料に動くということです。
また、安静時、散歩や家事などの低強度の運動に必要なエネルギーを供給するメインエンジンになります。
クエン回路~電子伝達系では酸素を使用して二酸化炭素と水が排出されます。呼吸によって酸素と二酸化炭素が十分に交換される状況下で働きます。

クエン酸回路の仕組みと反応
前述した通り、クエン酸回路の燃料はピルビン酸と脂肪酸です。
ピルビン酸はグルコースが解糖系を経て、脂肪酸は脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪(難しい言い方をしていますが、つまり「脂肪」です。)がβ酸化されて作り出されます。クエン酸回路に入る際、これらの燃料はアセチルCoAに変換され使用されます。
クエン酸回路では、炭素数6個のクエン酸から反応が始まり、徐々に炭素数を減らしながら炭素数4個のオキサロ酢酸になります。酸化される過程で、NADHとFADH2という物質を作り出しますが、これが後述する電子伝達系でATPを生産するのに使用されます。
逆を言えば、クエン酸回路はATPを直接生産せず、その準備を行う回路です。
クエン酸回路の反応は以下の通りです。
クエン酸(炭素6個)→シスアコニット酸(炭素6個)→イソクエン酸(炭素6個)→α-ケトグルタル酸(炭素5個)→スクシニルCoA(炭素4個)→コハク酸(炭素4個)→フマル酸(炭素4個)→リンゴ酸(炭素4個)→オキサロ酢酸(炭素4個)
※この間、3個のNADHと、1個のFADH2を生産・・・電子伝達系でATPを作り出します(後述)
オキサロ酢酸に、炭素数2個のアセチルCoAが結合することで、クエン酸が再合成されます。
※このアセチルCoAは、ピルビン酸と脂肪酸から作られるんでしたね。
オキサロ酢酸(炭素4個)+アセチルCoA(炭素2個)→クエン酸(炭素6個)
ただし、オキサロ酢酸はクエン酸回路とは別の場所で身体に必要なアミノ酸を合成するためにも使われます。不足するオキサロ酢酸を補充するために、ピルビン酸からオキサロ酢酸をつくりクエン酸回路に供給するオキサロ酢酸補充経路と呼ばれるものが存在します。
ピルビン酸は解糖系を経てグリコーゲンから生産されるもの、グリコーゲンは即ち炭水化物ですから、「炭水化物が無いと脂質を燃料に動くクエン酸回路は回転しない」と言えます。
クエン回路が1回転すると、3個のNADHと、1個のFADH2が生じます。ピルビン酸がアセチルCoAに変換される過程でも1個のNADHが生じますから、合計4個のNADHと、1個のFADH2が生産されることになります。
NADHは、NAD⁺(ニコチンアミドジヌクレオチド)という酵素に水素原子がくっ付いたものです。NAD⁺は、アミノ酸の一種であるトリプトファンから合成(デノボ経路)されるか、ビタミンB3(ナイアシン)から合成(サルベージ経路)されます。
FADHは、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)という酵素に水素原子がくっ付いたもので、FADはビタミンB2を原料にして合成されます。
(エナジードリンクには必ず入っているビタミンですね。逆に言えば、これらのビタミンが不足するとクエン酸回路は上手く働きません)
クエン酸回路では、炭素を失いつつこれらの酵素に水素原子をくっ付ける反応をしているということです。
重要なのはこれらの酵素に水素がくっ付いているということで、この水素(H)が次の電子伝達系で重要な働きをします。
電子伝達系の仕組みと反応
ミトコンドリアは二重膜で囲まれた細胞小器官で、以下のような部位があります。
外膜: 外側の膜
膜間スペース: 外膜と内膜の間の空間
内膜: 電子伝達系が存在する場所
マトリックス: 内膜の内側の空間で、クエン酸回路が存在する。
電子伝達系は、水素イオン(プロトン/H+)が内膜と膜間スペースの間を通過する際に生じるPHの差(プロトン勾配)によって生じるエネルギーにより、ATP合成酵素によりADPと無機リン酸(Pi)からATPを合成します。
電子伝達系は内膜に埋め込まれている4つのタンパク質複合体、1つのATP合成酵素と、内膜内を移動する2つの電子キャリアからなります。
クエン酸回路で生産されたNADHとFADHは、マトリックスと内膜の境目に存在するタンパク質複合体に水素イオンと電子を渡し、還元(NAD+とFADに戻る)されます。
※水素原子は陽子1個と電子1個から構成される。電子を失うと、水素イオンとなる。
この電子は、電子キャリアによって運ばれ、最終的に酸素に渡されます。
電子が運ばれる際のエネルギーによって、水素イオン(プロトン/H+)は膜間スペース(クリステ内膜)にたんぱく質複合体を通じ汲みだされます。すると、内膜側にはプロトンが少なく、pHが上昇した状態になります。この状態は非常に不安定であるため、プロトンは自然に内膜内へ戻り、細胞内のpHのバランスを中性に保ちます。
この時、プロトンはATP合成酵素を通じて移動します。このエネルギーを使用し、ATP合成酵素はADPにリン酸基を結合させてATPを合成します。
ADPからATPを合成するメカニズムは、下記の記事をご参照くださいね!
https://bumpup-japan.com/itabashi/2024/07/01/%e4%bd%93%e3%81%ae%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%b3%ef%bc%81%e7%94%9f%e4%bd%93%e3%82%a8%e3%83%8d%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%bc%e6%a9%9f%e6%a7%8b%ef%bc%88%e4%bb%a3%e8%ac%9d%e7%b3%bb%ef%bc%89%e3%81%ab/
4個のNADHから10個のATP、1個のFADH2から1.5個のATPが生産されます。グルコース1個からピルビン酸は2個生じますので、電子伝達系においては、グルコース1分子辺り23個のATPが生産されることになります。
このように、クエン酸回路~電子伝達系ではATP-CP系や解糖系などとは比較にならないほど多くのATPを生産することができます。しかし、構造が複雑な分生産速度は遅く、解糖系の1/100ほどだと言われています。
クエン酸回路~電子伝達系は、日常生活レベルのエネルギーを生産するときのメインエンジンで、脂質を燃料として燃える唯一のエネルギー生産機構です。
次回は、このクエン酸回路を働かせるために必要な栄養素、また体に蓄えられた脂肪が分解されて燃料に変わる過程を説明いたします。
【お近くの店舗はこちらから】
◆BumpUp板橋店HP
https://bumpup-japan.com/itabashi/
◆BumpUp大宮本店
https://bumpup-japan.com/omiya/
◆BumpUp高崎店HP
https://bumpup-japan.com/takasaki/
◆BumpUp蕨店HP
https://bumpup-japan.com/warabi/
◆BumpUp浦和店HP
https://bumpup-japan.com/
◆BumpUp上尾店HP
https://bumpup-japan.com/ageo/
◆BumpUp所沢店HP
https://bumpup-japan.com/tokorozawa/
◆BumpUp+大宮店HP
https://plus.bumpup-japan.com/omiya/
◆BumpUp+草加店HP
https://plus.bumpup-japan.com/souka/
【bump up3つのメソッド】
①お客様の骨格や姿勢・動作、可動域・筋力のバランスにあったトレーニングを行うためにアライメントチェックを行います。
②身体機能を目覚めさせ、より効果を最大限に引き出す徒手トレーニングを行います。
③体の歪みを整え、トレーニングの最大限の効果を引き出すパーソナルストレッチを行います。