実は、運動中だけでなく運動後にもカロリーが消費されていることをご存知でしょうか。
これは「アフターバーン効果」と呼ばれ、運動後の体を回復させるために代謝や消費が活発になる現象で、とくに筋トレや短距離走などの高強度な運動をした後に起こります。
この効果を最大限に引き出すことで全体の消費量が増え、脂肪燃焼やダイエットをよりスムーズに進めることができるでしょう。
本記事では、アフターバーンが起こる仕組みや、効果を引き出すコツなどを詳しくご紹介します。
アフターバーンとは運動後も引き続き消費が続く現象
心拍数や息が上がるような激しい運動を行った後に代謝が上がったり、消費が続いている状態をアフターバーンと言います。
カロリーは運動中のみ消費されていると思っている方も多いかもしれませんが、実際には運動後しばらくの間も代謝や消費が続いています。
運動によって疲労を感じたりダメージを受けたりすると、体は貯蔵している糖質(グリコーゲン)や脂肪を使って回復を行うのです。
とくに筋トレや短距離走などの高強度な運動では、より多くのエネルギーを使用して回復を行うため、必要なエネルギー量も多くなります。
アフターバーンの仕組み
とくに強度の高い運動を行うと、心拍が上がることで酸素の消費量が増え、筋線維のダメージや炎症が起こります。
このような状態を回復させるために、体は酸素を取り入れたり筋肉を修復させたりする働きが活発になるため、より多くのエネルギーを消費するようになるのです。
運動後の体内で行われている修復などのプロセスは以下のとおりです。
- 酸素の補充(EPOC)
- 体温調節
- ダメージを受けた筋肉の修復
- 乱れたホルモン値を戻す
それぞれ解説します。
酸素の補充(EPOC)
激しい運動は酸素の消費量が多く、一時的に酸欠のような状態になります。
また、運動後の体を回復させるためにも酸素が必要です。
そのため、運動後は酸素の摂取量が増え、この過程により体内での消費活動も活発になります。
運動後、一時的に酸素を取り込む量が増えることを「EPOC」と言い、運動の持続時間や強度がEPOCの大きさに影響を与えるという研究結果も発表されています。
(参考情報:NationalLibraryofMedicine「運動強度、運動時間、運動モードが運動後の酸素消費量に与える影響」)
体温調節
運動中に体温が上昇すると、体は温度を下げるために代謝の働きが活発になります。
この体温を調整する過程も、体内での消費量が増える要因の1つです。
ダメージを受けた筋肉の修復
高強度の運動や筋トレを行うと筋線維がダメージを受け、その修復のために多くのエネルギーが必要です。
この修復のプロセスでは消費が増加するため、運動後も代謝が高い状態が続きます。
さらに、損傷を受けた部分を修復するためには新しい筋肉を作り出す必要があり、その際にも代謝が活発になります。
乱れたホルモン値を戻す
運動中は心拍を上げたり体への負荷(ストレス)に対応したりするために、さまざまなホルモンが分泌されています。
運動後はこれらのホルモン値を通常のレベルに戻すために、代謝が活発に働くのです。
アフターバーンで得られる5つの効果
アフターバーン効果で期待できる効果は以下のとおりです。
- 消費カロリーの増加
- 代謝機能の向上
- 筋肉量が増える
- 心臓および血管の機能向上
- 冷えやむくみの改善
それぞれ詳しく解説します。
消費カロリーの増加
運動後に代謝機能が向上することによって、運動中に消費したカロリー以上の量を消費することが可能です。
また、運動後の体を回復・修復するプロセスでは体脂肪が優先的に利用されます。
これにより蓄積している体脂肪の減少も期待できるのです。
代謝機能の向上
筋トレによって徐々に筋肉量を付けていくと、運動後に傷ついた筋肉を修復するために必要なエネルギー量も増えるため、代謝機能が高くなります。
代謝の機能が高くなることで、食べたものを活動源に変換・利用する能力も高まるため、ある程度食べても太りにくい体を作ることが可能です。
筋肉量が増える
運動後に代謝や消費を高めるためには、無酸素運動で筋肉をしっかり使うことが重要であり、これによって筋肉量の増加が期待できます。
筋肉は、運動をしていない安静時でも維持のためにエネルギーを使うため、筋肉量が増えることで基礎代謝が向上し、より多くのカロリーを消費する体質を作ることが可能です。
また、筋肉量が増えることで基礎代謝の向上も期待でき、今だけでなく将来的にも痩せやすい状態を保ちやすくなります。
心臓および血管の機能向上
筋トレなど高強度の運動を継続することで定期的に心拍数が変動し、酸素の摂取量も増加します。
これにより心臓のポンプ機能が向上し、肺が酸素を効率よく取り込む能力も高まるため、心肺機能の改善が期待できるのです。
心肺機能が向上することで体力や持久力が増し、運動パフォーマンスの向上にもつながります。
冷えやむくみの改善
代謝や心肺機能が向上することで、体温の上昇や血流が改善されるため、冷えやむくみの解消が期待できます。
血流が改善されると、酸素や栄養素が体全体に効率よく運ばれて体内の循環が良くなり、冷え性やむくみの症状が軽減されるのです。
アフターバーン効果は有酸素運動でも得られる?
アフターバーンは、運動によって減少した酸素量や傷ついた筋肉を回復させる過程で発生します。
そのため、低強度で酸素を取り込みながら行うウォーキングなどは、高強度な運動に比べて運動後の代謝は少ない傾向にあるのです。
しかし、筋トレなどの無酸素運動とは異なり、有酸素運動は体に蓄えている脂肪もエネルギー源として利用するため、脂肪を燃やす効果が非常に高いとされています。
とくに運動習慣があまりない方が最初から高強度な運動を取り入れると、筋肉や関節に過度な負担がかかりケガにつながることも。
そのため、まずは軽い有酸素運動から始めることがおすすめです。
アフターバーン効果を最大限に引き出す運動
前述のとおり運動後の代謝を高めるためには、強度の高い運動を行うことが重要です。
本記事では、とくに効果的な「筋トレ」と「HIIT」の2種目について、コツや注意点などを詳しく解説します。
筋トレ
筋力トレーニングは、効果的に運動後の代謝や消費量を高めることができる無酸素運動の1つです。
トレーニング後の代謝をしっかりと上げるためには、できるだけ高い負荷のトレーニングを行うことが推奨されています。
具体的には、腹筋や腕よりも脚や背中などの大きい筋肉を優先して鍛えると良いでしょう。
ダンベルやチューブなど器具を使って負荷を増やすこともおすすめです。
効率よく筋肉量の増加や代謝の向上効果を得るためには、1セット8〜12回できる程度の強度が適しているとされていますが、ケガを避けるためにも無理のない回数から始めましょう。
HIIT
HIIT(高強度インターバルトレーニング)は、短時間で高強度の運動を行うトレーニング方法で、心肺機能の向上や脂肪燃焼に効果的。
実際に、HIITは低強度の運動と比べてEPOCがより大きくなることが確認されています。
(参考情報:NationalLibraryofMedicine「激しいインターバルトレーニングが運動後の代謝に与える影響に関するメカニズムと方法論的観点」)
HIITは以下のように運動と休憩のインターバルを組んで行います。
- 30秒運動・30秒休憩
- 45秒運動・15秒休憩
- 20秒運動・10秒休憩
運動内容としてはランニングやエアロバイク、バーピージャンプなど短時間で心拍数が上がるものを選ぶと良いでしょう。
運動前にはしっかりストレッチで筋肉や関節をほぐし、最初は無理のない範囲で始めることが重要です。
アフターバーン効果を利用して最短コースで痩せよう!
運動によって傷ついた筋肉や体の疲労を回復・修復するために、運動後も消費や代謝が行われています。
とくに筋トレやHIITなど、強度の高い無酸素運動後にこの現象は起こりやすく、運動で消費したカロリーを上回る量の消費が可能です。
筋トレ方法や正しいフォームが分からない、自分1人では追い込めないと悩む方はパーソナルジムでのダイエットをおすすめします。
適度に無酸素運動を取り入れて消費や代謝機能をアップさせ、効率的に痩せるダイエットを目指しましょう。