ダイエット中のタンパク質食材として、鶏むね肉やささみ、納豆などいつも同じ食材を取り入れているという方も多いのではないでしょうか。
実は、同じタンパク質の食材でも、その種類によって栄養バランスや体への影響が異なります。
タンパク質以外に含まれている栄養素を理解し、さまざまな食材を取り入れることで、ダイエットがスムーズに進むだけでなく健康的に美しく痩せることが可能です。
本記事では、さまざまなタンパク食材から栄養を摂ることの重要性や食材別の栄養素などをご紹介します。
タンパク質は体を構成する主要な栄養素
タンパク質は3大栄養素の1つで、体を構成したり調整したりするための重要な栄養素です。
主に以下のような役割を担っています。
- 筋肉、骨、内臓、血液、髪などを作る材料になる
- ホルモンや酵素を生成し、体内バランスを整える
このように健康的な体を作るためにタンパク質は欠かせない栄養素であり、不足すると免疫機能や抵抗力が低下し、さまざまな病気や不調が起こりやすくなるのです。
また、筋肉の材料が不足することで筋肉量が低下する可能性も高まります。
(参考情報:国立保健医療科学院「たんぱく質|e-ヘルスネット(厚生労働省)」)
同じタンパク質食材でもダイエット効果が違う3つの理由
同じタンパク質量の食材でも、種類によってダイエット効果や体への影響は異なります。
これは、タンパク質以外の栄養素やその吸収速度が影響しており、具体的な要因は以下のとおりです。
- アミノ酸スコアの違い
- タンパク質以外に含まれている栄養素の違い
- 吸収される速度の違い
それぞれ詳しく解説します。
アミノ酸スコアの違い
アミノ酸スコアとは食材の「質」を評価する指標のことです。
このスコアは、食材に含まれるタンパク質と必須アミノ酸量のバランスを示しており、基準量を超えるものはすべて100点の評価を受けます。
人間の体はタンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、9種類の必須アミノ酸を自分で作り出すことができません。
これらの必須アミノ酸は、食事から摂ることが大切です。
アミノ酸スコアが高いほど体に必要なアミノ酸を効率よく供給できるため、栄養価が高いとされています。
タンパク質以外に含まれている栄養素の違い
同じタンパク質食材でも、それぞれに含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素は異なります。
鶏肉、魚、大豆、卵などのさまざまなタンパク質食材がありますが、それぞれの食材ごとに特有の栄養素が含まれているのです。
たとえば、肉はビタミンB群や鉄分、魚には不飽和脂肪酸やビタミンD、大豆製品にはイソフラボンや食物繊維など、含まれる栄養素は食材によってさまざまです。
多様な食材を組み合わせて取り入れることで、必要な栄養素をまんべんなく摂取することができます。
吸収される速度の違い
タンパク質は、食材の種類によって体内での吸収速度に違いがあり、主に動物性タンパク質と植物性タンパク質の2つに分けられます。
動物性タンパク質は、肉や魚、卵、乳製品などに含まれており、これらは一般的に体内での吸収が速い食材です。
消化酵素によってすぐに分解され、アミノ酸が血液を通じて筋肉に供給されます。
そのため、運動後の筋肉の修復や成長を促すためには、動物性タンパク質の摂取が効果的です。
一方で大豆製品などに含まれる植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べて消化・吸収に時間がかかります。
そのため、長時間の運動や食事の間隔が空く際には、エネルギーを持続的に供給できる植物性タンパク質が最適です。
タンパク質食材別の栄養素や働き
ここからは、食材別のアミノ酸スコアや多く含まれる栄養素などの特徴を以下の分類ごとに紹介します。
- 肉類
- 魚介類
- 卵
- 大豆製品
肉類
肉は優れたタンパク質源で、種類や部位によって栄養素が異なるため、選び方によって必要な栄養素を効率的に摂取することができます。
肉類はすべてアミノ酸スコアが100であり、とても優れたタンパク質源です。
ここでは、肉類の中でも代表的な「鶏肉」「牛肉」「豚肉」の栄養素をご紹介します。
鶏肉
鶏肉はほかの肉と比べて低脂質・高タンパクで、ダイエット食として取り入れやすい食材です。
とくにむね肉やささみは、ほかの部位と比べて代謝をサポートするビタミンB6や、ストレスを和らげる副腎皮質ホルモンを作るために必要なパントテン酸が豊富に含まれています。
また、むね肉には抗酸化作用や疲労回復効果がある「イミダゾールペプチド」と呼ばれる成分が豊富なので、積極的に摂取したい部位です。
(参考情報:独立行政法人農畜産業振興機構「鶏肉に含まれるイミダゾールジペプチドとその機能性について」)
牛肉
牛肉の赤い色合いは「ミオグロビン」と呼ばれる鉄分に含まれる色素タンパク質が影響しており、さらに亜鉛やビタミンB12も豊富です。
鉄分は赤血球の成分として重要で、貧血の予防に欠かせない栄養素であり、とくに月経のある女性が不足しがちなため意識して摂取する必要があります。
ビタミンB12は神経の働きをサポートし、貧血を予防する重要な役割を果たしています。
また、牛肉にはカルニチンと呼ばれる栄養素も豊富です。
カルニチンは、エネルギー変換が行われているミトコンドリアに脂肪酸を運ぶ働きがあるため、脂肪燃焼効果が期待できます。
牛肉には脂肪分が多い部位もあるため、もも肉やひれ肉などできるだけ赤身肉を選ぶと良いでしょう。
豚肉
豚肉はビタミンB群がほかの肉類と比べても豊富で、さまざまな栄養の代謝に欠かせない栄養素を多く含んでいます。
なかでもビタミンB1はとくに多く含まれており、糖質・アルコールの代謝や疲労回復に欠かせない栄養素です。
そのほかにもビタミンB6やB12、酵素の働きをサポートするナイアシンなどの栄養素も豊富なため、積極的に食事に取り入れることをおすすめします。
魚介類
魚も肉類と同様に、アミノ酸スコアが100の優秀なタンパク質食材です。
肉類と異なる栄養素も豊富なので、どちらもバランスよく取り入れる必要があります。
赤身魚
マグロやカツオ、アジなどの赤身魚は、良質なタンパク質やカルシウムが豊富です。
とくに赤身魚の血合い部分には、ビタミンAやB群、ビタミンD、鉄分などさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
ビタミンAは視力を保つ、免疫機能向上に効果的です。
赤身魚の中でも、イワシやサバなどの青背の魚に豊富に含まれるEHAやEPAという魚油は、高血圧や動脈硬化の予防に役立つとされています。
白身魚
赤身魚と同様に良質なタンパク質食材で、赤身魚と比べて脂質が低いものが多いという特徴があります。
白身魚にはビタミンB群やビタミンD、さらに鉄分や亜鉛といったミネラルが豊富です。
ビタミンDは骨の健康をサポートし、亜鉛は免疫機能の維持や細胞の成長などに重要な役割を持っています。
エビ・イカ
エビとイカは、どちらも低脂肪で高タンパクな栄養価の高い食材です。
アミノ酸スコアはエビが74、イカが71となっており、肉や魚と比べるとやや低めの評価ですが、エビにはビタミンB12やセレン、亜鉛などのミネラルが豊富に含まれており、免疫力を向上させる効果があります。
イカは青魚と同じくDHAやEPAが豊富で、さらにビタミンB2やナイアシンも含まれており、エネルギー代謝をサポートする役割を果たしています。
卵
卵は「完全栄養食品」として広く認識されており、ビタミンCと食物繊維を除くほとんどの栄養素を含んでいます。
アミノ酸スコアは100で、優れたタンパク質源です。
卵白にはビタミンB2が豊富に含まれ、卵黄には脂溶性のビタミンAやEが含まれており、抗酸化作用によって動脈硬化や老化を予防する効果が期待できます。
大豆製品
納豆や豆腐の原料である大豆もタンパク質が豊富な食材です。
タンパク質以外にも脂質や食物繊維、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分、ビタミンB1、B2、C、Eなど多くの栄養素が豊富に含まれています。
また、大豆製品にはイソフラボンと呼ばれる女性ホルモンと似た働きをする成分も豊富なため、とくに女性は積極的に摂取したい食材です。
多様なタンパク質食材を取り入れて健康的なダイエットを目指そう
同じタンパク質食材でも、含まれている栄養素や体内での働き、吸収速度などが異なります。
とくにダイエット中同じ食材ばかりを食べていると、ほかのタンパク質源から得られる栄養素が不足したり、タンパク質合成の効率が落ちる可能性があるのです。
毎回食事メニューや食材を考えるのが億劫、自分の体質に合った食事を摂りたいという方には、パーソナルジムでの食事指導を受けることをおすすめします。
本記事を参考に、さまざまなタンパク質食材から体に必要な栄養素をまんべんなく補い、きれいに痩せるダイエットを目指しましょう。