脂肪をスムーズに燃やすことができる有酸素運動は、ダイエットに効果的な方法の1つです。
しかし、運動頻度や時間によっては筋肉量が減少したり代謝が低下したりするリスクがあるため、逆に痩せにくくなる可能性があることをご存知でしょうか。
効率的に脂肪を減らして痩せるためには、適切な運動方法を理解することがとても重要です。
本記事では、有酸素運動を長時間行うことによるデメリット、適切な時間や頻度について詳しく解説します。
「どのくらいの時間やれば効果的?」「やりすぎるとどうなるの?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
有酸素運動は酸素を使って行う持続的な運動

有酸素運動は、その名のとおり酸素を体内に取り込みながら筋肉を動かす運動です。
具体的には以下のようなものが代表的な種目にあたります。
- ジョギング
- ウォーキング
- サイクリング
- 水泳
有酸素運動は筋肉にかかる負荷が比較的軽いため、長い時間続けやすいという特徴があります。
有酸素運動で得られる3つの効果

有酸素運動は、行う頻度や時間によってダイエットが停滞する可能性がありますが、適切に取り入れることで健康や体調の維持に役立つ運動でもあります。
適度に体を動かすことで得られる主な効果を3つ解説します。
1.体脂肪を減らす

有酸素運動では体に蓄えられた脂肪が主なエネルギー源として利用されるため、体脂肪を減らすためにとても有効な運動です。
また、継続することで少しずつ基礎代謝が向上し、運動後も脂肪燃焼が続く効果も期待できます。
2.持久力を高める
定期的に運動を取り入れると、心肺機能が向上し、全身に酸素をより効率的に運べるようになります。
これにより、日常生活やトレーニング中の疲れにくさが実感できるようになるでしょう。
さらに、適度な運動は毛細血管の成長を助けます。
毛細血管が増えることで筋肉への酸素供給も改善されるため、持久力向上が期待できるのです。
3.さまざまな病気の予防・改善
以下のような多くの生活習慣病のリスク軽減効果が期待できます。
- 肥満
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高血圧症
- 心筋梗塞
- 脳卒中
(参考文献:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」)
過度な有酸素運動は痩せにくい?4つの理由

ダイエットのために有酸素運動を取り入れる方は多いですが、やり過ぎると逆効果になる可能性があります。
主な理由は以下のとおりです。
- 体がエネルギー消費を抑制する
- 筋肉が落ちやすくなる
- 疲れやストレスが溜まる
- ケガや不調のリスク
研究結果や論文などの科学的根拠をもとに、それぞれ詳しく解説します。
体がエネルギー消費を抑制する
過度に運動すると、体は生命を維持するためにエネルギー消費を抑える「代謝適応」が起こります。
有酸素運動の時間が長くなるほど体がエネルギーを節約し始め、消費カロリーが減少する傾向にあるのです。
2016年、アメリカのデューク大学の進化人類学者であり、人間のエネルギー代謝と進化に関する研究で知られてるハーマン・ポンツァー氏たちが行った研究によると、運動によるカロリー消費は、やればやるだけ増えるものではないことが明らかになりました。
ある一定の運動量を超えると総エネルギー消費量が頭打ちになってしまい、痩せにくくなるとされています。
つまり「運動をたくさんすることが必ずしも体重や脂肪の減少につながるわけではない」ということなのです。
(参考:NationalLibraryofMedicine「成人における総エネルギー消費量の制限と身体活動に対する代謝適応」)
筋肉が落ちやすくなる
有酸素運動を一度にたくさん行うと、筋肉の分解を引き起こす可能性もあるのです。
体は、脂肪だけでなく筋肉も燃料として使います。
そのため、カロリーを多く消費しようと長時間運動したり、栄養が不足している状態で過度に運動したりすると、エネルギーを確保するために筋肉が使われやすくなります。
筋肉が減ると基礎代謝も低下して脂肪が燃焼しにくくなり、結果的に痩せにくい体質になるリスクも高まるため、時間をしっかりと管理しながら行うことが大切です。
(参考:NationalLibraryofMedicine「意図的な減量中の運動の種類が肥満高齢者の体組成に与える影響」)
疲れやストレスが溜まる

ある研究によると、有酸素運動を長く続けることが、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌を増やすことにつながると示されています。
過剰なコルチゾールの分泌は、筋肉を分解して脂肪をため込みやすくなるため、ダイエットや体づくりの妨げになりかねません。
また、過度な運動によって疲労がたまり、十分な休息や回復が取れないと筋肉の修復や成長に悪影響を及ぼします。
そのため、しっかりとした休息と体の回復を重視することが大切です。
(参考:NationalLibraryofMedicine「運動と血中コルチゾール濃度:強度閾値効果」)
ケガや不調のリスク
過度な有酸素運動には、ケガや体に不調が現れるリスクが高まるというデメリットもあります。
とくに運動を始めたばかりの方が、体力が十分でない状態で急に長時間の運動をすると、膝や足首を痛めてしまう危険性も。
ケガをして長期間の休養が必要になってしまってはダイエットや体づくりに悪影響となるため、無理ないペースを守る必要があります。
ダイエットに効果的な有酸素運動の取り入れ方

ここからは、有酸素運動によるデメリットを効率よく痩せるための実践方法を解説します。
重要なポイントは以下の4つです。
- 頻度
- 継続時間
- 強度
- タイミング
それぞれ詳しく解説します。
1.頻度
ダイエットにおいて理想的な運動の頻度は「週に3回程度」です。
このくらいの運動頻度であれば、しっかりと回復する時間を確保しながら体に適度な負荷をかけながら回復の時間も確保できるため、無理なく続けることができます。
長時間行うことを避ければ毎日運動しても問題ありませんが、自分に合った無理のない頻度で続けることが重要です。
2.継続時間

脂肪が主な燃料として使われ始めるまでに約20分かかるため、少なくともその時間は継続しましょう。
30分を一度に行うか、10分ずつ3回に分けるかは同じ効果が得られるので、自分のライフスタイルに合った方法で続けることが重要です。
(参考:NationalLibraryofMedicine「長時間運動と短時間運動が肥満女性のフィットネスと減量に及ぼす影響」)
筋トレ後の有酸素運動は10〜20分程度にとどめ、総運動時間も1時間以内にすることで、筋肉の分解やストレスホルモンの増加を防ぎながら効果的に脂肪を燃焼できます。
長時間の運動は脂肪も燃焼しますが、同時に筋肉の分解やストレスホルモンが増えるリスクも高めるので注意しましょう。
3.強度
ダイエットに適した有酸素運動の強度は、最大心拍数×50〜60%程度と言われています。
自分の最大心拍数は「220-年齢」で求められますので、参考にしてみてください。
(参考:日本ディサースリア臨床研究会「有酸素トレーニングの基礎理論」)
具体的には、誰かとウォーキングしながら会話ができる程度の強度で、少し汗をかくくらいの運動が効果的です。
4.タイミング
基本的にどの時間に行ってもカロリーの消費量に違いはありませんが、おすすめの時間帯は朝か夕方です。
とくに理想的なのが朝食を食べる前のタイミング。
起床後は最後の食事から時間が空いており、体内の栄養が1日のなかで最も少ない状態です。
そのタイミングで運動することでより早く脂肪が使われ始めるため、脂肪燃焼効果を最大限に高めることが可能です。
また、朝に運動することで交感神経が刺激されて代謝を促す効果もあります。
夕方は体がほぐれているので、体を動かすには最適な時間。
朝に運動するのが難しい場合は夕方に取り組むのが良いでしょう。
寝る前に激しい運動をすると睡眠の質に影響を与えることがあるので、夜しか時間が取れない場合は軽めの運動にすることをおすすめします。
有酸素運動を上手に活用して理想の体型を目指そう

有酸素運動はダイエット効果の高い運動ですが、やりすぎると逆に痩せにくくなる可能性があるため注意が必要です。
しかし、適切な頻度で行えば脂肪を燃焼させたり健康を促進したりする効果も期待できます。
運動を習慣化したい、自分に合った方法を試したい方はパーソナルジムに通うこともおすすめ。
プロのトレーナーがあなたの目的に沿ったトレーニングや食事のアドバイスをしてくれるので、最短で目標達成できるでしょう。