食事や運動を頑張っているのに、なかなか見た目に変化が現れないことに悩む方は多いでしょう。
しかし、見た目が変わらない=体脂肪が全く減っていないというわけではありません。
体脂肪には大きく3つの種類と落ちる順番があり、とくに気になる皮下脂肪は、ほかの脂肪と比べて落ちるまでに最も時間がかかるため、長期的なアプローチが必要です。
本記事を参考にすることで、脂肪が落ちる順番やメカニズムの理解が深まり、目に見える脂肪が落ち始める前にダイエットを諦めてしまうリスクが軽減できるでしょう。
脂肪が落ちるメカニズムを知ろう
脂肪燃焼は「分解」と「消費」のプロセスによって行われており、脂肪酸が細胞内で酵素によって分解されることでエネルギーに変換され、消費されます。
体内のエネルギーが不足すると、リパーゼという消化酵素が脂肪を分解してグリセロールと脂肪酸に変わります。
脂肪酸は血中に放出されて全身に運ばれ、消費されていくのです。
脂肪の種類と落ちる順番は?
体脂肪は「肝臓脂肪」「内臓脂肪」「皮下脂肪」の3種類に大別され、それぞれ蓄積されている部位や脂肪が落ちるタイミングや順番が異なります。
一つずつ解説していきます。
最初に落ちる脂肪:肝臓脂肪
肝臓脂肪とは、その名のとおり肝臓に脂肪が蓄積している状態で、過剰に蓄積されると「脂肪肝」と呼ばれる生活習慣病を引き起こします。
脂肪肝が進行すると、糖尿病や動脈硬化などのさまざまな病気に発展する可能性もあるのです。
そのようなリスクを回避して健康を維持するために、ほかの脂肪と比べて肝臓脂肪が優先的に落ちていくとされています。
次に落ちる脂肪:内臓脂肪
内臓脂肪は内臓の周囲に蓄えられる脂肪で、内臓の位置を保つ、内臓同士のクッションなどの役割を担っています。
内臓脂肪は皮下脂肪よりも早く蓄積される傾向がありますが、皮下脂肪より優先して活動源として使われていくため、比較的減りやすい脂肪です。
この脂肪は内臓の周りに蓄積されているため、指でつまむことができないという特徴があります。
最後に落ちる脂肪:皮下脂肪
皮下脂肪は皮膚のすぐ下にある脂肪で、体温の調節やエネルギーの貯蔵、内臓の保護などの重要な役割を果たしています。
とくにおなかや腰周り、脚などに付きやすいつまめる脂肪です。
そして肝臓脂肪、内臓脂肪と比較して蓄積されるまでに最も時間がかかるものの、一度付いたら減らすのが難しいという特徴があります。
皮下脂肪が落ちにくい3つの理由
ほかの脂肪に比べて皮下脂肪が減りにくいのは、体を守るための機能や脂肪の性質が影響しているためであり、主な原因として以下の3つが挙げられています。
- 体を守る役割がある
- 血流が少なく燃料効率が悪い
- 脂肪燃焼酵素への反応が鈍い
それぞれ詳しく解説します。
体を守る役割がある
脂肪は悪いものとされがちですが、皮下脂肪には体温の調整や保持、筋肉や臓器を外部の衝撃から守るクッションとしての役割があります。
生命活動の維持や体を守るためにとても重要な役割を担っているため、皮下脂肪は減りにくくなっているのです。
血流が少なく燃焼効率が悪い
血管が多い内臓周辺に蓄積される内臓脂肪とは異なり、皮下脂肪は心臓から離れた末梢血管の近くに蓄積されることが多いです。
分解した脂肪を消費するためには血液中に脂肪酸として放出する必要があるため、血流が不足すると脂肪燃焼がスムーズに行われません。
そのため、皮下脂肪が分解・消費されるまでに時間がかかるのです。
脂肪燃焼酵素への反応が鈍い
脂肪燃焼は、アドレナリンや成長ホルモンの分泌によって活性化されます。
これらの分泌による影響を受けて脂肪を分解・変換するためには「ホルモン感受性リパーゼ」という酵素(受容体)の働きが重要です。
この酵素は脂肪細胞に存在し、脂肪の分解を助ける重要な役割を果たしています。
内臓脂肪はホルモン感受性リパーゼが活性化されやすいため、脂肪の分解や消費がスムーズに進みやすく、脂肪が落ちやすくなっています。
一方、皮下脂肪はこの酵素に対する反応が鈍いため脂肪が燃焼するまでに時間がかかり、落ちにくくなっているのです。
内臓脂肪はすぐに使える脂肪、皮下脂肪は蓄えるための脂肪として異なる役割を担っています。
効率よく脂肪を減らすためのダイエット法4選
引き締まった体を手に入れるためには、正しい知識を身に付け継続することが大切です。
ここでは、脂肪燃焼に効果的な4つの方法をご紹介します。
1.正しい食事管理
皮下脂肪が蓄積してしまう原因のほとんどは食事によるカロリーオーバー。
余分な体脂肪を減らすためには適切な食事管理が欠かせません。
そのためには、まず目指すべき摂取カロリーを決めることが重要です。
自分の身長や体重にあった摂取カロリーを決める計算方法は、以下で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。
また、極端な食事制限もダイエットの進行を妨げることがあるため注意が必要です。
栄養が不足すると体は飢餓を感じて筋肉を分解・変換して補填しようとするため、筋肉量の減少につながります。
さらに、入ってきた栄養を蓄えようとするため脂肪が付きやすくなり、その蓄えを減らさないように脂肪を落としにくくなるのです。
その結果、一時的に体重は落ちても、その後リバウンドや停滞につながる可能性が高くなります。
腹8分目を意識し、1日3回バランスの取れた食事を心がけましょう。
2.有酸素運動
有酸素運動は、肝臓や筋肉に貯蔵している糖質(グリコーゲン)のほかに脂肪も使われます。
有酸素運動は、低強度で長時間続けられる運動であるほど脂質をエネルギー源として使い、筋トレなど高強度の無酸素運動では、脂質よりも糖質が優先的に使われます。
そのため、より脂肪を使うためには心拍数が少し上がり、軽い息切れを感じる程度の強度がおすすめです。
具体的な強度としては「最大心拍数×50〜60%」の範囲で行うことが効果的だと言われています。
最大心拍数は「220-年齢」で計算できますので、有酸素運動の強度を考える際に参考にしてください。
(参考情報:日本ディサースリア臨床研究会「有酸素トレーニングの基礎理論」)
3.筋トレ
筋トレを取り入れることで筋肉量が増え、基礎代謝が上がります。
基礎代謝が向上すると安静時でもエネルギーを多く消費するようになるため、脂肪燃焼に効果的です。
さらに、筋トレを行うことで「アフターバーン効果」が得られるというメリットもあります。
アフターバーン効果とは、運動を終えた後も体内で代謝が活発に行われ、消費活動が続いている状態のことです。
高強度の運動、とくに筋トレを行うことで酸素の消費が増え、体内でエネルギーを作り出す働きが活発になります。
これによりアフターバーン効果が得られ、代謝の高い状態が一定時間続くため脂肪が燃えやすくなるのです。
より効果的に基礎代謝量やアフターバーン効果を高めるためには、大きな筋肉を鍛える必要があります。
下半身や背中の筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れてみると良いでしょう。
4.睡眠の質を高める
睡眠が不足すると、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌が減り、逆に食欲を増加させるグレリンの分泌が増えます。
また、主に睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は代謝に深く関わっており、分泌量が減ることで代謝低下につながることも。
このようなリスクを軽減するためにも睡眠時間はしっかり確保しましょう。
しかし、睡眠は時間だけでなく「質」も重要です。睡眠の質を向上させるための具体的な対策は以下を意識しましょう。
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 寝室の環境を整える(照明・温度など)
- 朝日を浴びる
- 適度に運動する
気になる部位の脂肪だけを落とすことは可能?
脂肪が落ちる際は全身の脂肪細胞が少しずつ分解・消費されるため、特定の部位にある脂肪を狙って落とすことはできません。
しかし、筋トレをして体にメリハリをつけ、引き締まった印象を与えることはできます。
脂肪が落ちる順番を理解して効率よくダイエットしよう!
体脂肪にはいくつかの種類があり、蓄積される場所や落ちる順番が異なります。
なかでも皮下脂肪は、一度付くと分解して消費されるまでに時間がかかるため、正しい方法で長期的にアプローチすることが重要です。
1人ではダイエットが続かない、運動が苦手という方はパーソナルジムでプロの指導の下でダイエットすることをおすすめします。
無駄な脂肪を少しずつ減らしながら、理想のスタイルを目指しましょう。