痩せる食事や食事制限の方法を調べていると、PFCという言葉を目にしたことがあるかもしれません。
PFCバランスとは三大栄養素の摂取割合を示すもので、効率よく痩せたり食事制限をしていくためにとても重要な要素の1つです。
運動や食事制限を頑張っているのになぜか痩せない、摂取量は守っているのに変化が出ないという場合、摂取している食事のバランスが乱れていることが原因である可能性があります。
そして、毎日の食事から何をどれくらい摂取する必要があるのかを計算して把握することは、効率よく痩せるために効果的です。
本記事では、PFCについてや理想的な摂取割合などをご紹介します。
PFCバランス=三大栄養素の摂取比率のこと
PFCとは、下記の三大栄養素のことを指します。
- P=タンパク質
- F=脂質
- C=炭水化物
そして、その栄養素をどれくらいの割合で摂取するかを示したものがPFCバランスと言われています。
食事内容に気を配りながら比率や量を見直すことで、必要な栄養が不足することなくしっかり摂取できるだけでなく、効率よく痩せやすい体作りが可能です。
PFCバランスが大切な理由
三大栄養素の摂取割合を整えることで得られるメリットは以下のとおりです。
- 食事管理を無理なく続けやすい
- 栄養の偏りが起こりにくい
- 食材の栄養や成分についての知識が増える
それぞれ解説していきます。
食事管理を無理なく続けやすい
栄養素の摂取割合は、まず1日に必要な摂取量を算出してから決める必要があります。
そのため食事の量や栄養が不足しにくく、代謝低下による失敗が起こりにくくなるのです。
代謝や筋肉量を維持しながら健康的に痩せることができるでしょう。
栄養の偏りが起こりにくい
タンパク質、脂質、炭水化物は、数多くある栄養素の中でもとくに重要で、体や内臓の機能を支えたり筋肉や骨を形成する役割があります。
カロリーの数字だけを重視した食事制限をしていると、必要な栄養の比率が崩れ不足しやすいため、何をどれくらい摂取しないといけないのかを意識することが重要です。
同じ100kcalの食べ物であったとしても、主にタンパク質なのか脂質なのかで体やダイエットへの影響は変わるため、正しい割合と量で食事を整えていく必要があります。
食材の栄養や成分についての知識が増える
PFCを意識した食事を心がけることで、各食材に含まれる栄養素や、タンパク質が不足しているときにどの食材を加えれば良いかなど、栄養に関する知識が深まります。
食材に関する知識が増えることで食材選びのバリエーションが増えるだけでなく、市販のものや外食の際でも大体の栄養を予想し、管理することが可能です。
食事を管理しやすくなるという点は、体作りをしていくうえで非常に大きなメリットの1つと言えるでしょう。
PFCバランスの具体的な計算方法
厚生労働省の発表によると、理想的な摂取割合は「タンパク質:脂質:炭水化物=2:2:6」とされています。
(参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)
この基準を参考に割合を計算していきましょう。
1.摂取カロリーを決める
まずは、基礎代謝や活動量から必要摂取量がどのくらいなのかを計算する必要があります。
食事量が最低限必要な量を下回ってしまうと、代謝や燃焼効率が落ち痩せにくくなってしまうためです。
必要な摂取量は「基礎代謝量×身体活動量」で算出できます。
自分の基礎代謝量や身体活動量が分からない…という方は下記のページを参考に計算してみましょう。
2.PFCバランスを計算する
1日の摂取量をもとに自分に合った割合と摂取量を計算していきましょう。
三大栄養素1gあたりのカロリーは以下のとおりです。
- P(タンパク質):4kcal/1g
- F(脂質):9kcal/1g
- C(炭水化物):4kcal/1g
このように、脂質は1gあたり9kcalと、他の2つと比べ2倍以上となっています。
脂っこいものが太りやすいとされているのは、少ない量でもカロリーが高いということが理由です。
以下で具体的な摂取量の計算方法について説明します。
栄養素ごとの理想的摂取量
理想的な摂取割合については、先ほどご説明したとおり「2:2:6」が推奨されています。
この数値に当てはまるように、それぞれの摂取量を計算していきましょう。
ここでは、例として摂取カロリーを1,800kcalだと仮定して計算例をご紹介します。
タンパク質
タンパク質は、全体の20%が目安量です。
1,800kcal×20%=360kcal
1gあたり4kcalなので、360kcal÷4kcal=90g
1日あたりの目安摂取量は90gです。
1食で一気に摂取するのではなく、
- 1食30gを3食
- 1食25gを3食+間食にプロテインドリンクや高タンパク質ヨーグルト
など、適量を1日かけて摂取するよう心がけましょう。
タンパク質を多く含むおすすめの食材は以下のとおりです。
- 鶏ささみ:23.9g/100g
- 豚もも:22.1g/100g
- カツオ(生):25.8g/100g
- 卵(ゆで)12.5g/1個
- 木綿豆腐7.0g/100g
脂質
脂質は、全体の20%が目安量です。
1,800kcal×20%=360kcal
1gあたり9kcalなので、360kcal÷9kcal=40g
1日あたりの目安摂取量は40gです。
食事制限をしていると脂質を避けてしまいがちですが、脂質には活動源となったりホルモンを整えたりする役割があるため、極端な制限はやめましょう。
また、脂質には「トランス脂肪酸」などの太りやすいものと「不飽和脂肪酸」などの脂肪として蓄積されにくいものがあります。
できるだけ脂肪になりにくい「不飽和脂肪酸」を含む食材を選ぶことが重要です。
おすすめの脂質食材は以下のとおりです。
- 卵
- サバ、サンマなどの青魚
- あまに油、えごま油、オリーブオイル
- ナッツ類
- アボカド
炭水化物
炭水化物は、全体の60%が目安量です。
1,800kcal×60%=1,080kcal
1gあたり4kcalなので、1,080kcal÷4kcal=270g
1日あたりの目安摂取量は270gです。
1日に摂取する食事の中で半分以上を占めているため、普段炭水化物を制限している方からすると「太りそう」という不安を感じるかもしれません。
しかし、炭水化物は体や脳に重要な活動源となるため、減らしたり抜いたりしないことが大切です。
ごはん一杯分(200g)は約75gの炭水化物となっていますので、摂取量の目安として参考にしてください。
この主食をベースとして1日3回食べることと併せて、間食にフルーツや和菓子などを取り入れるとさらに良いでしょう。
PFCバランスでよくあるご相談内容
ここからは、当編集部のトレーナーがよく受けるPFCバランスのよくある一般的な疑問をご紹介します。
これまで食事の内容について意識したことがない方は、ぜひ参考にしてください。
バランスさえ気を付けていれば痩せる?
いくら比率に気を付けていても、全体の食事量が多すぎるとカロリー摂取量が過剰になり、痩せにくくなってしまいます。
摂取量が消費量を上回ってしまうと痩せにくくなるため、計算して求めた摂取量の範囲内で栄養素の割合を調整することを意識しましょう。
炭水化物の摂取量が多くて不安…
先ほど説明したとおり、1日の摂取量の半分以上は炭水化物が占めています。
日頃から糖質制限を意識している方、ごはんなどの主食を控えめにしている方からすると「そんなに炭水化物を食べると太りそう」という不安を感じることがあるかもしれません。
しかし、炭水化物は人間の活動源として使われる最も大きな栄養素であり、体や内臓、脳を動かすために欠かせません。
不足の状態が続くと、ダイエットが停滞するだけでなく代謝も落ち、将来的にも痩せにくい体質になってしまう可能性も高まります。
そのため、タンパク質や脂質よりも多く摂取する必要があるのです。
計算をもとに設定した比率に収まるように摂取していれば太ってしまう心配は少ないので、安心して主食を食べましょう。
PFCバランスを整えた食事で効率よく痩せよう!
カロリーや食材だけでなく栄養の比率を意識した食事を心がけることで、健康の維持だけでなくダイエットにもいい影響を与えることができます。
理想的な割合や摂取量は簡単に計算でき、自分に合った量を把握することが可能です。
健康的かつ効率的に痩せたい方は、ぜひ本記事を参考に計算をしてみてください。
食事の管理が難しい、食事と併せて運動も頑張りたいけど何から始めたらいいのか分からないという方には、パーソナルジムに通う方法がおすすめです。
三大栄養素をどのくらい摂取するかの比率を見直し、健康的に続けられるダイエットを目指しましょう。